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Patent Attorney's Note

2019年7月9日から、他人の特許権または営業秘密を故意に侵害した場合、損害額の最大3倍まで賠償する「懲罰的損害賠償制度」が施行される。

これまでは、損害賠償額が大きくなかったため侵害が予想されても、まず侵害から利益を得て、事後に補償すればよいという認識が多かった。しかし、これから懲罰賠償制度が施行されることによって「知的財産侵害の悪循環が断ち切られ、知的財産が市場で正当な対価を受けられる環境が造成される」と期待される。

特許庁は、このような内容を盛り込んだ「特許法」および「不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律」一部改正法律が7月9日から施行されると明らかにした。

これまで、韓国の特許侵害訴訟の損害賠償額の中間値(※)は、6千万ウォンであった。これは、米国の損害賠償額の中間値の65.7億ウォンに比べて非常に少ない金額であり、韓国と米国のGDPを考慮しても9分の1に過ぎない。

一例として、A企業の場合、自社の特許を侵害したB企業を相手取って1億ウォンの損害賠償を請求したが、実際引用された金額は、2千2百万ウォンに過ぎなかった。それも約1千万ウォン程度の訴訟費用を除けば事実上、損害として認められた金額は1千2百万ウォンに過ぎなかった。これは、訴訟による救済の限界をそのまま露呈する事例である。そのため、一部の中小企業では、自社の特許権侵害事実を認知したにもかかわらず、訴の提起を放棄することも茶飯事であった。

これからは、特許権または営業秘密を故意に侵害した場合、損害額の最大3倍まで賠償されるようになるため、A企業も最大6千6百万ウォンまで損害賠償を受けることができるようになる。この他にも特許権または営業秘密保護を強化する改正事項も同時に施行される。

まず、特許権侵害に対する実施料の認定基準が「通常実施料」から「合理的な実施料」に変更される。これまでは、同種業界の実施料契約などを参考にして認定されていた実施料の割合が、これからは同種業界の参考資料がなくても法院において合理的に判断することができるようになった。これを通じて現在の2%~5%に過ぎなかった認定の割合が最大12%~13%(米国水準)まで上昇することができると期待される。

次に、特許権を侵害した者に、自身がどのような製造行為を行ったかを具体的に明らかにするように制度を改善した。通常、侵害者の工場の中で製造が行われるため、製造方法に関する特許の場合は、特許権者がその侵害行為を立証することが非常に難しかった。

このような問題点を解消するために、侵害者に、自身が工場でどのように製品を製造したかを明らかにするように義務付けるものである。これにより、特許権者の侵害立証が多少緩和するものと期待される。

そして、不正競争防止法上の営業秘密の認定要件を「合理的な努力によって秘密として維持」されるようになっていたものを「秘密として管理」さえできれば営業秘密として認定できるように要件を緩和した。これまで中小企業の場合、営業秘密の管理要件を満たすことができず50%以上が訴訟で敗訴した。今回の改正により、中小企業の営業秘密保護がより一層強化されるものと期待される。

最後に、営業秘密侵害に対する刑事処分を強化した。まず、退社後も営業秘密を継続して保有していた者が、削除または返還要求に応じない場合など、営業秘密の刑事処罰の対象を追加して営業秘密侵害のリスクのある状況を克服できるようにした。そして、営業秘密侵害行為に対する懲役および罰金を従前より大幅に強化させた。

※懲役刑の強化(国内:5年→10年、国外:10年→15年)
※罰金上限額の強化(国内:5千万ウォン→5億ウォン、国外:1億ウォン→15億ウォン)

さらに、同法律の改正事項のうち、懲罰的損害賠償などの損害賠償に関連する事項は、改正法律が施行された以降、最初に違反した行為から適用される。

特許庁産業財産保護協力局長は、「改正法律の施行により、これまでより知的財産の価値が高くなるものと期待され、侵害者が侵害行為から得た利益を特許権者の損害として還元させる制度が整備されれば、懲罰賠償制度の効果が、より増大されるだろう」と述べた。

※中間値:全体の60件の訴訟事件のうち、損害賠償額を基準に30位または31位に該当する事件の平均損害賠償額

※主要改正内容は、懲罰賠償関連の不正競争防止法、特許法改正法律の主要改正事項PDFファイル(85KB)を参照

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